現在YouTubeにおいて、「救済者」という映像を見ることが出来ます。
これは、1997年にウクライナ国営放送で放映されたドキュメンタリー番組である。
五井野博士の献身的な人道的活動と、博士の開発したGOP(五井野プロシジャー)の癌や白血病に対する驚異的な治療効果が高く評価されたために、放映されるに至ったものである。
外国人である五井野博士の活動を放映するのですから、どれだけ人々の関心を集めたかが分かる。
ところで、この映像に対して、次のような批判がある。
・ウクライナ国営放送なのに、番組はロシア語で放映されている
・ウクライナ国営テレビのテロップが出てこない
・YouTubeのタイトルは患者がチェルノブイリの被災者だと言っているが誤りである
これらについて、検証・反論していきます。
まず、ウクライナの言語状況について述べます。
ウクライナは旧ソ連邦の構成国家でありました。
旧ソ連邦内の構成国においては、自国語の他にロシア語が浸透していました。
ややもすると、ロシア語の方が優先されていた状態です。
そのため、自国語とロシア語のバイリンガルは珍しいことではなく、大勢いたのです。
テレビ放送もロシア語で行われることは普通でした。
このへんのことは、それ程特別な見識ではなく、資料などは必要ないでしょう。
ここで、資料を示します。
北九州市立大学芳之内雄二教授
http://www.kitakyu-u.ac.jp/_foreign/international_relations/teacher/teacher_16.html
が、2008年に発表した論文
「ウクライナの現代言語状況と言語問題」
http://www.kitakyu-u.ac.jp/gkj/files/bh007401yy.pdf
この論文の、54〜55頁にかけての記述を見ると、次の事がわかります。
「テレビ・ラジオ放送に関する法令」の第10条4項は、
「ウクライナ語で放送される放送時間の割合は%以上としなければならない。」
裏を返せば、法律で規定しなければならないほど、放置しておけば、ロシア語の放送が多くなるということです。
また、ロシア顎の放送枠が25%ありますから、この放送がその枠で放映されたということで、何も問題ありません。
さらに、ロシア語にすれば旧ソ連邦でも放映可能ですから、五井野博士の活動を広く知らしめるためには好都合で、敢てロシア語にしたのかもしれません。
ということで、ウクライナ語ではなくロシア語であるから変だという批判は正しくないと確信できるでしょう。
そもそも現在YouTubeで見ることの出来る映像は、五井野博士の講演会等で配布されたDVD映像が基になっています。
私もこのDVDを持っており、日本語によるナレーションの吹き替えが同じなので、そのように断定できます。
そのDVD版において確認すると、編集のため、番組の製作者などのクレジットタイトルは一部しか残っていません。
これはYouTube版でも同じで、最後のほうに少しだけロシア語の部分が確認できるだけです。
また、YouTube版は、DVD版を更に編集しています。
DVD版では、全編にわたり字幕などのテロップは一切ついていません。
ところが、YouTube版では、日本語のテロップが加えられています。
エンドクレジットも、ロシア語の部分に日本語を追加する編集がされています。
ウクライナ国営放送のクレジットがないだけで変だというのは、無理があります。
単純に日本での編集でカットされただけです。